ヒラメ・トロ

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「マイナちゃんは女の子なのでしょうか? 」マイナQA

Q.マイナンバーカードのマイナちゃんは女の子なのでしょうか? A.和内太郎の解説内閣府公式HPによると、「ずっと昔から日本に住んでいたシロウサギの妖精」「マイナンバーが導入されることを知り、マイナンバーのPRキャラクターを買って出てくれました。」とあります。なので女の子であることは確実です。どうやら、マイナンバーのために生まれたというより、その前から「マイナちゃん」という名前で、たまたま我が国に導入された特定の個人を識別するための番号の俗称が「マイナンバー」だったため、名前かぶりで広報役に白羽の矢が立ったことになります。 しかし、さらに興味深いのは、内閣府公式HPによると、「目や耳が『1』なのは、マイナンバーが『1人に1つ』であることを示しています。」とあり、前後関係を整理する必要がありますが、元からマイナちゃんという名前だった妖精が、マイナンバー制度の導入に伴い広報役となり、導入されたマイナンバーが「1人に1つ」割り振られることになったので、目や耳を『1』に整形したということなのでしょうか(「示しています」という公式発表からは、もともとマイナちゃんの目や耳が『1』だったとは考えにくい)。なぜ妖精設定なのかも含め、キャラ崩壊感があります(カバの妖精に風貌が似ているからでしょうか)。 ちなみに、誕生日は5月24日(マイナンバー法成立日と同じ日)で、年齢は「秘密」とのこと。明るく好奇心旺盛・楽観的な性格で、ラーメンが好物とのことです。 「坂内舞の乱数遊び」の主人公の性別は、読者の皆さまの想像にお任せします。 マイナちゃん

「もし番号が流出したら!?」マイナQA

Q. もし番号が流出したら、変更はできるのでしょうか?バイト等で店長に知られて、一生不変となると気持ち悪いです。 A. 和内太郎の解説変更できます。 番号法7条2項では「市町村長は、当該市町村(特別区を含む。以下同じ。)が備える住民基本台帳に記録されている者の個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められるときは、政令で定めるところにより、その者の請求又は職権により、その者の従前の個人番号に代えて、次条第二項の規定により機構から通知された個人番号とすべき番号をその者の個人番号として指定し、速やかに、その者に対し、当該個人番号を通知カードにより通知しなければならない。」とされています。 ちなみに、その次条第二項にあたる、番号法8条2項では、「機構は、前項の規定により市町村長から個人番号とすべき番号の生成を求められたときは、政令で定めるところにより、次項の規定により設置される電子情報処理組織を使用して、次に掲げる要件に該当する番号を生成し、速やかに、当該市町村長に対し、通知するものとする。 一 他のいずれの個人番号(前条第二項の従前の個人番号を含む。)とも異なること。 二 前項の住民票コードを変換して得られるものであること。 三 前号の住民票コードを復元することのできる規則性を備えるものでないこと。」と定められています。 

「巨額のコストに見合う国民に対する利益は?」マイナQA

Q.巨額のコスト(税金)を投じるだけの国民に対する利益があるのかわからないのですが?A.和内太郎の解説ここでのポイントは、「国民」だけでないユーザにも番号が割り振られている点です。 「まるわかり!マイナンバー」でお伝えしたとおり、日本のマイナンバーは、国民等(日本国内に在住する外国人含む)に番号が割り振られます。これは、住民基本台帳に記録された住民票コードを変換して得られる符号によりマイナンバーを生成したためであり、基本的にマイナンバー保有者は、「住民」ということになります。このため、日本国籍を保有していても、海外に在留することとなった場合、番号は割り振られません。 なぜこの議論をしているかというと、諸外国では、「納税者番号」や「社会保障番号」として導入されている点です。納税者に割り振るのであれば、納税者に対して、その制度の説明責任が発生します。社会保障受給者に割り振るのであれば、当該者です。つまり、説明責任を果たすべきセグメントが明確であればあるほど、コストに見合ったパフォーマンスがありやなしやといったことを、説明しやすくなります。 しかし、日本のマイナンバーのように、「誰に割り振っているのか」と問われれば、「国内に住んでいる人」と答えざるを得ず、「何のために割り振っているのか」と問われれば、「色んな目的があります、一つは公正公平な社会の実現のため、一つは住民・行政の効率化・・・」とキラキラ大義名分を掲げざるを得ないため、今一つ、「何のために」が説明しきれていない印象を受けます。 某国のように「これは国民IDである。国民に割り振るIDである以上、国籍管理を行うものであり、国民IDを保有していないのであれば、外国人であることを意味する。」といった国是に基づき制度設計しているのであれば、情報の管理という意味でも十分な説明責任を果たせるでしょう。しかし、マイナンバーは住民に割り振られ、住民であるかどうかは住民基本台帳に登録されているかどうかであり、国民であるかどうかは、旅券を保有している場合は旅券で明確的になり、戸籍保有も一つの判断となりえますが、「公証」しているとは言い難いです。よって、政府の国民に対する便益に関する言説が巧く構築されていない理由は、これらの背景によるものと思われます。

「引っ越ししたら再発行しなければいけなくなってしまった」マイナQA

Q.実生活でマイナンバーが不便だった瞬間はありましたか。 A.引越しの手続きを14日以内にしなければならない制限のためにカードが無効になり、再発行手続きをしなければならないのがとても不便でした。 <和内太郎の解説>  実は私も同じ経験をしました。  自身が設計に携わったこともあり、満を持して申請しようとしたところ、待てど暮らせど通知カードが送られてきませんでした。  前作「まるわかり!マイナンバー」の序盤で記したとおりですが、当時、通知カードやマイナンバーカードを巡ってシステム障害が頻発しており、加えて、年賀状郵送時期等とも重なり、通知カードの未達・不達が大きな社会問題となっていました。  しかも、法律上、市町村長による住民への個人番号の通知は、施行期日を定める政令により平成27年10月5日とされました。よって、基本的には通知カードに記載された情報は、平成27年10月5日のものとなっていました。実は当時、和内太郎は平成28年から転居を予定しており、早く通知カードが来ないと転居後に転居前住所に通知カードが送られることになり、通知カードには転居後住所は反映されているはずがないため、異常に面倒なことになるのではないかと、実務者の嗅覚が鋭くなっていましたが、なんとまさかの最悪なタイミングで平成28年1月中旬の転居後に通知カードが実家に届きました。  ちょうどその時は、入居予定の住宅は明け渡された状態となっており、順次家具等を搬入していたため、入居後・届出前という非常に曖昧な時期と重なってしまいました。そこで、地元自治体に連絡したところ、当時マイナンバー担当窓口は常に混雑していたため、とにかく住民基本台帳に登録されている住所という意味では齟齬がないと自分で判断し、そのままマイナンバーカード発行申請を行いました。そして、ほぼ同時に住所変更も行いました。  すると、夏頃に地元自治体から「通知カード記載住所と住民票登録住所が異なるため、発行が遅れる」旨の連絡がありました(当たり前だろう、通知カード記載住所は平成27年10月5日時点の住所で、その日から2か月以上も発送中(未着)状態だったのだから、住所が変わって当然だろう、と心の中で思いました)。そして、ようやく秋頃に入手したマイナンバーカードの住所欄には、初回発行にも関わらず、転居履歴が示されているというレアカードになりました。

「免許の住所変更に使いました」 マイナQA

Q 実生活でマイナンバーが便利だった瞬間はありましたか。 A 免許の住所変更時に使用しました。   <和内太郎の解説> 運転免許証の記載事項変更の際、マイナンバーカードは役立ちます。これは、我が国において、長年、事実上の手軽な身分証明書として利用されてきた普通自動車運転免許証(道路交通法(昭和35年法律第105号)84条3項))と伍したカードとなるよう、緻密にマイナンバーカードが設計されたためであると考えられます。 そもそも、普通自動車運転免許証の交付は、講学上の「公証」行為であり、公安委員会から運転免許の交付を受けた人物が、第一種運転免許における普通自動車を運転するという特定の事実、または運転することが道路交通法上、適法であるという法律関係の存否を公に証明する行政行為です。平たく言えば「運転しても良い人物である」事実を公に証明するものであり、その「運転しても良い人物」に関する情報として、氏名、生年月日、住所及び顔写真が記載されているものであるため、必ずしも、「○○県○○市に住んでいる××さん」という身元を証明するための公証ではありません。 しかし、①我が国における自動車の普及により免許保有者率が一般化した(多くの人が保有している)、②公安委員会という行政機関が発行している(役所が発行しているカードに記載された情報であるため信頼性がある)、③氏名、生年月日、住所に加えて、顔写真が掲載されている(特定の個人を識別できる)という3点において、身分証明の手段として簡易であることから、事実上の身分証明書として普及していった経緯があります。 現在、我が国においてこの3点を網羅しているのは、おそらく普通自動車運転免許証だけだと考えられます。旅券(パスポート)は②及び③を備えていますが、日常生活で持ち歩くことが少なく、年金手帳や健康保険証は、①及び②は備えていますが、顔写真がありません(かつての住民基本台帳カードも、顔写真の掲載は任意でした)。 このため、運転するつもりはないが社会に出たときに運転免許証があると便利だから早いうちに取っておきなさいと、親類等から指導を受けた方も多くいらっしゃるでしょう。これはいわば、デファクト・スタンダード(事実上の標準基準)としての身分証明として運転免許証が受け入れられた結果であると考えています。 しかし、マイナンバーカードは、記載事項や使用用途も法令事項となっているため、明らかにデジュール・スタンダード(規格基準)として出発しています。スタンダードを普及させるための戦略として、デファクトでいくか、デジュールでいくか、という議論は必須ですが、個人的には「デファクトになりうるものがスタンダードにならなければならない」「デジュールで行くなら、規格競争に打ち勝てるほど規格の作り込みが必要」という哲学を持っています。 こうした議論が背景にあるため、免許変更時でのマイナンバーカードは有効であると考えられます(だって、国内最強の身分証明に戦いを挑んで設計したのだから)。

「使ったことがない」マイナQA

Q.実生活でマイナンバーが便利だった瞬間はありましたか。 ・使ったことがない <和内太郎の解説> A.使わなくてもいいと思います。  アメリカの社会保障番号(SSN)は、それがなければ社会保障に関係するサービスが受けられないばかりか、銀行口座の開設や保険の加入等において、大変な苦労を強いられることとなります。  しかし、我が国のマイナンバーは、そのような事態にならないように(と表現すべきかはさておき)マイナンバーがなくても、基本的には社会保障サービス自体の給付を受けることができます。これは、前作「まるわかり!マイナンバー」でも言及したところですが、基本的に我が国における制度設計は、「国民に無用な義務・負担を課さない」ことがコンセプトになっています(ドイツのようにIDカードを必携させる等といったルールはありません)。代わりに、事業者や行政機関が顧客又は住民等に対し、マイナンバーの提出を求めることとなっているため、マイナンバーの提出は任意ですが、マイナンバーの提出を求めることが義務となっています。  そして、提出することで、事業者及び行政機関にとっては効率化が図られ、顧客又は住民等にとっては利便性が向上する、というアーキテクトで制度全体が描かれています(描かれていることと実際にそのように実装されているかは別問題ですが)。  この問題意識に基づき、前作「まるわかり!マイナンバー」では、マイナンバーの是非ではなく、「まるわかり!」していただいた上で、是非を考える一助となれれば幸いです。

◎海外SNSを一網打尽!?「GDPR」に世界が震撼

 ○「データが消えた・・」迫り来るXデーはいつか?

2018年5月25日(現地時間)から、世界中のIT巨人企業達が何千万という巨費を注ぎ込み対応している課題がある。

「GDPR」(EU一般データ保護規則)である。

EU域内全土を網にかける、個人情報の新しいルールであり、EU個人情報保護法とも言われる。

これまでEUは、いわゆるデータ保護指令に基づき、各加盟国の国内で法個人情報保護法を整備してきた。 ところが、これらの国内法令を全面的に廃止して、EU共通の新法として、2016年4月27日に欧州議会及び欧州理事会が制定した。スタートすれば、世界で最も厳格な個人情報保護のルールとなる。

制定当初は、「海の向こうの国々で新しいことが始まった」程度の認識しかなかった国内の関係者も、GDPRの発効が近づくにつれ、色めき立っている。

キーワードは、「制裁金」と「域外適用」である。

○26億円か売上4%がEUに持っていかれる

このGDPRは、EU域内の個人データを完全に守るため、EU域外の事業者が違反した場合、地球の裏側まで取り締まりにやってくる。そして、その際に課される「制裁金」がとんでもない額である。その「罰金」たるや、2000万ユーロ(日本円で26億円余り)か年商の4%(世界中に支店がある企業の場合は、地球上の支店、支社等を全て合算した、連結決算による年商の4%)のうち、「いずれか高い方」と定められている。この金額は、我が国の個人情報保護法が、30万円「以下」の罰金を定めているのと比べると、正気とは思えない。「個人情報の治外法権」と嘯く関係者も少なくない。

○EUの狙いは何か
場合によっては外交問題にも発展しかねない事態であるが、既に火種になっているのが、アメリカ最大手のSNSサービス会社であるF社である。GDPR発効前であるが、EU側からF社は個人情報を不当に横流ししているとして、F社CEOはアメリカ議会の公聴会にも「出頭」している。

EUはこれまでも、個人情報の保護に関しては世界をリードしてきたが、実効性の担保に悩まされてきた。個人情報の保護に関する国際規格を定め、この規格にそった事業者を認定して、マークを配ることが、これまでの個人情報保護に関連した「規格ビジネス」であったが、認定された企業も漏洩事故を繰り返し起こした。これを防ぐには、その企業の経営基盤を揺るがすほどの金銭的サンクションしかない。
EU側には、このような思いがあったとされる。○EUから個人情報を持ち出せない!?

GDPRは、個人データの処理と移転に関する法律である。処理は、平たく言えば取り扱い全般のことであり、機微情報を取り扱う前には明確な本人同意が必須となったり、「忘れられる権利」を具体化するために、自身の情報の削除を申し立てられた場合、事業者はその求めに応じなければならない。これは、日本の法律でそうなっていなくとも、従わない場合はEUから巨額の制裁金が課されるということになる。

そして、GDPRにはものすごいことが書いてある。いわば「輸出禁止令」である。(続く)(和内太郎)

「坂内舞の乱数遊び」を通じて伝えたかったこと

作中に出てくる坂内舞は、どこにでもいそうな普通の少女でしたが、果たして彼女は豹変したのか、それもと、社会の方が一変したのか、その狭間を彼女の心理描写に託して描きたかったというのが、本作の狙いです。1つは、日常に潜む何気ない行いが知らない間に犯罪となってしまうことへの警鐘です。

これは、本作タイトルにもなっていますが、日本のマイナンバーは、数字や数列自体に意味を持たない「乱数」です。

しげしげと乱数を見つめても、住所も生年月日も分からない。機械を介せば、特定の個人を割り出せるかもしれませんが、そんな機械に日常生活で触れることはありません。

何ら情報性を持たない12桁の番号を手に入れることで、旧来法より懲役も罰金も倍加させた量刑上限となっている。しかし、意中の相手のことを深く知りたいと思う恋慕の念は、いつの時代も変わらない。

タブーというものが、いかにその時代やその社会の価値観に左右されるかを伝えたかったという狙いがあります。もう1つは、当たり前と思い込むことへの警鐘です。

これも、常識や暗黙の了解とされている考え方や知識を背負って日頃暮らしていることに対して、一石を投じたいという願いです。

誤解と偏見は、セットで語られることが多いですが、いずれも「正しいとされている当たり前の価値観」を尺度としています。しかし、正しさ、もっといえば確からしいことは、流転していきますから、その意味では、誤解も偏見も、正しい価値観なるものがなければ存立し得ないのかもしれません。

マイナンバーカードには、氏名や顔写真等の他、男女の別が記載される仕組みととなっていますが、坂内舞とは誰であり、何者なのか。その問いを読者の皆さまに微笑みながら伝える使者であり、既存の価値感に従い動く現代社会の化身であったのではないか。そのように感じていただけると幸いです。

是非、一読二読していただけますと幸いです。(和内太郎)