「免許の住所変更に使いました」 マイナQA

Q 実生活でマイナンバーが便利だった瞬間はありましたか。

A 免許の住所変更時に使用しました。  

<和内太郎の解説>

運転免許証の記載事項変更の際、マイナンバーカードは役立ちます。これは、我が国において、長年、事実上の手軽な身分証明書として利用されてきた普通自動車運転免許証(道路交通法(昭和35年法律第105号)84条3項))と伍したカードとなるよう、緻密にマイナンバーカードが設計されたためであると考えられます。

そもそも、普通自動車運転免許証の交付は、講学上の「公証」行為であり、公安委員会から運転免許の交付を受けた人物が、第一種運転免許における普通自動車を運転するという特定の事実、または運転することが道路交通法上、適法であるという法律関係の存否を公に証明する行政行為です。平たく言えば「運転しても良い人物である」事実を公に証明するものであり、その「運転しても良い人物」に関する情報として、氏名、生年月日、住所及び顔写真が記載されているものであるため、必ずしも、「○○県○○市に住んでいる××さん」という身元を証明するための公証ではありません。

しかし、①我が国における自動車の普及により免許保有者率が一般化した(多くの人が保有している)、②公安委員会という行政機関が発行している(役所が発行しているカードに記載された情報であるため信頼性がある)、③氏名、生年月日、住所に加えて、顔写真が掲載されている(特定の個人を識別できる)という3点において、身分証明の手段として簡易であることから、事実上の身分証明書として普及していった経緯があります。

現在、我が国においてこの3点を網羅しているのは、おそらく普通自動車運転免許証だけだと考えられます。旅券(パスポート)は②及び③を備えていますが、日常生活で持ち歩くことが少なく、年金手帳や健康保険証は、①及び②は備えていますが、顔写真がありません(かつての住民基本台帳カードも、顔写真の掲載は任意でした)。

このため、運転するつもりはないが社会に出たときに運転免許証があると便利だから早いうちに取っておきなさいと、親類等から指導を受けた方も多くいらっしゃるでしょう。これはいわば、デファクト・スタンダード(事実上の標準基準)としての身分証明として運転免許証が受け入れられた結果であると考えています。

しかし、マイナンバーカードは、記載事項や使用用途も法令事項となっているため、明らかにデジュール・スタンダード(規格基準)として出発しています。スタンダードを普及させるための戦略として、デファクトでいくか、デジュールでいくか、という議論は必須ですが、個人的には「デファクトになりうるものがスタンダードにならなければならない」「デジュールで行くなら、規格競争に打ち勝てるほど規格の作り込みが必要」という哲学を持っています。

こうした議論が背景にあるため、免許変更時でのマイナンバーカードは有効であると考えられます(だって、国内最強の身分証明に戦いを挑んで設計したのだから)。


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